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2007年5月16日 (水)

武術的格闘技としてのムエタイ


 5月13日日曜日、久々に後楽園ホールでキックボクシングを観戦。ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)の興行で、メインは真王杯55kg級王者の米田貴志とM-1バンタム級王者のワンロップ・ウィラサックレック戦だった。といっても大多数の人にはよくわからないんだろうな。
 現在、いろいろあって、もっともメジャーな打撃系格闘技と言えばK-1と言う感じになっていて、キックってK-1と何が違うの? という人も多いかもしれない。もちろん、K-1だってキックボクサーが出ているわけで、キックボクシングといってもいいのだけど、NJKFを含めキックボクシングの団体はいくつかあって、ここ5年ほどの間に、ルールにばらつきが出てきている。
 大雑把に言えば、ムエタイよりのルールとK-1やR.I.S.E.よりのルール。
 NJKFは今や希少価値が出てきたムエタイよりのルールの団体なのである。
 5R、肘打ちあり、首相撲からの膝蹴りあり。
 K-1は3Rが基本で、判定上パンチ、攻撃的な戦い方への評価が高く、長時間の首相撲は禁止で、首を抑えての膝蹴りが一発までといった感じ。K-1のほうが断然メジャーなのだが、こうしたアグレッシブ重視を明確に打ち出したのはR.I.S.E.のほうが先だったように思う。
 ほかに、3Rで判定をしてドローだったら、4R、5Rを回が終わるごとに判定する「サドンデスマッチ」とか「ショーダウンマッチ」とかいう延長戦方式を使う団体とか、新日本キックボクシング協会のように、肘、首相撲ありルールのままタイトルマッチ以外は3Rにする団体があったり、グラデーションがあるわけ。
 UFCやPRIDEのような、グラウンドでの打撃が認められる総合格闘技がある時代だから、かつてムエタイが「立ち技最強」と呼ばれた意味を今更考える人はそうそういないかもしれないが、ムエタイの強さの本質は、「わかりにくい」とルール上排除が進む傾向にある「首相撲」「膝」「肘」にある。これらは、剣術で言えば鍔迫り合いに当たる部分で、武器術にも通じる武術的な部分である。ムエタイという競技は、武術的な要素を絶妙に残しながら、スポーツとしても成り立っていて、格闘技としての有効性にも優れた稀有な代物なのである。ここで言う「武術的要素」というのはたとえば刃物のような武器に対応し得る技術を指している。元BBTV世界フェザー級王者の島三雄さんなんかは「前手捌き」という言い方をしていたが、打ち合いでない、「捌き」の攻防があり、そこに「武術的」な魅力はあるのだ。中国拳法の推手の経験がある人なら、あるいはこの辺の感覚は分かるかもしれない。しかし、ほとんどの中国拳法ではキックボクシングのようなパンチや蹴りでの攻防の能力はあまり身につかないのではないか、と思う。
 そういう視点で戦いを見ていると、結構面白かった。全体的な選手のレベル自体はK-1MAXが上なのだが、NJKFにはムエタイよりのルールならではの面白さがあるのだ。声援の具合を見ると、観客にもムエタイ好きが多いように感じた。
ちなみに、当日のダブルメインイベントの結果は以下のとおり。


第11試合 メインイベント 55kg契約 3分5R
×米田貴志(OGUNIジム/NJKFバンタム級王者・真王杯55kg級王者)
○ワンロップ・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックスジム/M-1バンタム級王者)
判定0-2 (多賀谷48-49/高木49-49/小林49-50)

第10試合 WINDY CUP 59kg契約 3分5R
○久保優太(立川KBA/NJKFフェザー級王者)
×ファーカムワーン・SKVジム(タイ)
判定2-0 (小林50-49/高木50-50/センチャイ50-48)


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